神話と歴史の間のエーゲ海

古代ギリシアの、神話から歴史に移るあたりの話を書きました。

2021-02-01から1ヶ月間の記事一覧

クラゾメナイ(9):ペロポネーソス戦争

クラゾメナイ:目次へ ・前へ アナクサゴラースが亡くなったのはBC 428年頃とされています。BC 431年にはペロポネーソス戦争が始まり、この戦争はBC 404年まで続きます。これは、アテーナイと中心とするデーロス同盟とスパルタを中心とするペロポネーソス同…

クラゾメナイ(8):アナクサゴラース(2)

クラゾメナイ:目次へ ・前へ ・次へ 以下の話は私には本当らしく思えないのですが、こんな話も伝わっているということで、ご紹介します。 ともかくこんな話がある。ペリクレスが仕事に忙殺されていてアナクサゴラスの面倒を見る者がいなかった時、アナクサ…

クラゾメナイ(7):アナクサゴラース(1)

クラゾメナイ:目次へ ・前へ ・次へ BC 480年の第2次ペルシア戦争では、クラゾメナイは戦艦と乗組員の供出をペルシアから命ぜられ、ペルシア海軍の一員としてギリシア本土を侵略するために従軍しました。この軍はアテーナイ沖のサラミースの海戦でギリシア…

クラゾメナイ(6):ヒッポナクス

クラゾメナイ:目次へ ・前へ ・次へ BC 547年、ペルシアの支配が始まってからBC 499年のイオーニアの反乱が始まるまでの時代にクラゾメナイで活躍した悪口詩人がいます。彼の名前はヒッポナクスといい、エペソス生まれでしたが、遅くともBC 538年頃にはクラ…

クラゾメナイ(5):ペルシアの統治下で

クラゾメナイ:目次へ ・前へ ・次へ その後、リュディアはその東に迫って来たペルシアを迎え撃ちます。ペルシア王キューロスは、イオーニア諸都市に密使を送り、リュディアに対する反乱を呼びかけます。しかしミーレートスを除くイオーニア諸都市はリュディ…

クラゾメナイ(4):キンメリア人とリュディア王国

クラゾメナイ:目次へ ・前へ ・次へ 話を徐々にクラゾメナイに戻していきます。 アリステアースの「アリマスポイ物語」で登場したキンメリア人というのは、今のウクライナあたりにいた遊牧民族だということです。それがどういう理由によるのか、やはり遊牧…

クラゾメナイ(3):アリステアース

クラゾメナイ:目次へ ・前へ ・次へ ヘルモティモスについての物語を調べているうちに、もうひとりの「神話と歴史の間」にいたと思われる人物のことが気になり始めました。その人はアリステアースといい、クラゾメナイとは関係のない人物ですが、脱線してこ…

クラゾメナイ(2):ヘルモティモス

クラゾメナイ:目次へ ・前へ ・次へ ヘルモティモスについては断片的な情報しかなく、それも神話的な話でしかありません。そのひとつは、ディオゲネース・ラーエルティオスが伝えるもので、ヘルモティモスがピュータゴラースの前世だったという話です。正確…

クラゾメナイ(1):クラゾメナイ建設

クラゾメナイ:目次へ ・次へ クラゾメナイは、イオーニア12都市のひとつです。さて、英語版のWikipediaにはクラゾメナイと神話の関わり合いとして、以下の記事を載せています。 クラゾメナイで鋳造された銀貨は、町の主神であるアポローンの頭部を示して…

クラゾメナイ:目次

都市一覧へ 1:クラゾメナイ建設 クラゾメナイは、イオーニア12都市のひとつです。さて、英語版のWikipediaにはクラゾメナイと神話の関わり合いとして、以下の記事を載せています。クラゾメナイで鋳造された銀貨は、町の主神であるアポローンの頭部を示し…

テオース(7):その後のテオース

テオース:目次へ ・前へ テオースはペルシアの支配下に戻りました。ペルシア王ダーレイオスは、イオーニアの反乱に加担したアテーナイとエレトリアに報復するために、BC 490年海軍を派遣しました。この時にテオースは従軍を強いられたかどうかよく分かりま…

テオース(6):イオーニアの反乱

テオース:目次へ ・前へ ・次へ アナクレオーンが故郷のテオースに帰国した頃、テオースはおそらくギリシア人の僭主の支配下にあったはずです。この頃のペルシアはイオーニアの町々の僭主を支援して、彼らによってイオーニアを間接統治していたからです。イ…

テオース(5):アナクレオーン

テオース:目次へ ・前へ ・次へ BC 525年のペルシア軍によるテオース包囲から逃れ出た市民の中に詩人のアナクレオーンがいました。彼はその頃30代でしたのでおそらくそれまで町を守って戦っていたと思われます。市民と一緒に彼はテオースを逃れ船に乗って北…

テオース(4):ペルシアの侵攻

テオース:目次へ ・前へ ・次へ その後の数百年のテオースの歴史を私はたどることが出来ませんでした。いろいろなことが疑問のままです。テオースの王制はいつまで存続したでしょう? ホメーロスが活躍した時代、テオースはホメーロスと何か関りがあったで…

テオース(3):初期の出来事

テオース:目次へ ・前へ ・次へ テオースへの最初の植民団を率いたアタマースの先祖であるアタマースの物語を紹介しました。先祖のアタマースには物語が豊富に存在していました。しかし植民団を率いたアタマースについては、調べた限りでは以下の短い物語し…

テオース(2):アタマース

テオース:目次へ ・前へ ・次へ テオースへの最初の植民団を率いたアタマースの祖先である、オルコメノス王アタマースにまつわる物語をご紹介します。 アタマースの父親アイオロスは、ギリシア人の一派であるアイオロス人の祖先ということになっていますの…

テオース(1):テオース建設

テオース:目次へ ・次へ (上:テオースと、その創建に関わったとされる町々) テオースはイオーニア地方の町で、イオーニアの主要な12の町の一つです。イオーニア地方の真ん中に位置しているので、かつて哲学者ターレスが、イオーニア諸都市は団結してひ…

テオース:目次

都市一覧へ 1:テオース建設 テオースはイオーニア地方の町で、イオーニアの主要な12の町の一つです。イオーニア地方の真ん中に位置しているので、かつて哲学者ターレスが、イオーニア諸都市は団結してひとつの国を作り、テオースを首都とすることを提案…