神話と歴史の間のエーゲ海

古代ギリシアの、神話から歴史に移るあたりの話を書きました。

2019-10-01から1ヶ月間の記事一覧

ヘルミオネー(8):イーピゲネイアとヘルミオネー

ヘルミオネー:目次へ ・前へ ・次へ 以上、イーピゲネイアとヘルミオネーの物語をご紹介しました。私が思うにこの2つの物語には奇妙な類似点があります。 イーピゲネイアもヘルミオネーもオレステースによって連れ戻されていること。 イーピゲネイアは、嘘…

ヘルミオネー(7):王女ヘルミオネー

ヘルミオネー:目次へ ・前へ ・次へ (右:ヘルミオネー) ヘルミオネーはスパルタ王メネラーオスと王妃ヘレネーの一人娘でした。ヘレネーがこの娘ヘルミオネーを置いてトロイアに出奔したこと、そしてそれがトロイア戦争の原因になったことはすでに述べま…

ヘルミオネー(6):タウリケのイーピゲネイア

ヘルミオネー:目次へ ・前へ ・次へ タウロイ人の国タウリケでの風習のひとつには、その国にやってきた異国人、特にギリシア人をアルテミスにいけにえとして捧げるというものがありました。イーピゲネイアは、それに直接手を下すことは要求されませんでした…

ヘルミオネー(5):アウリスのイーピゲネイア

ヘルミオネー:目次へ ・前へ ・次へ イーピゲネイアの物語は常に女神アルテミスが関係しています。 (上:女神アルテミス) イーピゲネイアは、トロイア戦争でギリシア側の総大将となったミュケーナイ王アガメムノーンの長女でした。母親はクリュタイメース…

ヘルミオネー(4):デーメーテール・クトニアー(冥界のデーメーテール)

ヘルミオネー:目次へ ・前へ ・次へ (上:エルミオニー「ヘルミオネー」の現在の地名のGoogle衛星写真) ヘルミオネーは長い岬の上に建設されていました。そしてその両側には港がありました。かなり後の時代のことになりますが、AD 2世紀のパウサニアース…

ヘルミオネー(3):ドリュオペス人の移住

ヘルミオネー:目次へ ・前へ ・次へ 前回の最後で紹介したヘーラクレースの物語の異伝にあたるものが、高津春繁著「ギリシア・ローマ神話辞典」に載っていました。 ヘーラクレース (中略) [ドリュオプス人およびラピテース人との戦] ヘーラクレースはデ…

ヘルミオネー(2):ヘルミオネーの起源

ヘルミオネー:目次へ ・前へ ・次へ まずは、町のほうのヘルミオネーについて、その起源を調べていきます。ヘーロドトスは次のように書いています。 ヘルミオネ人は本来ドリュオペス人で、ヘラクレスとマリス人によって今日ドーリスと呼ばれる地方から追わ…

ヘルミオネー(1):2つのヘルミオネー

ヘルミオネー:目次へ ・次へ ヘルミオネーは、エーゲ海の西側、スパルタの東にあります。 私はずっとヘルミオネーという町の名前は、ギリシア神話に登場するヘルミオネーという女性に由来するのだろう、と思っていました。ヘルミオネーは、トロイア戦争の原…

ヘルミオネー:目次

都市一覧へ 1:2つのヘルミオネー 私はずっとヘルミオネーという町の名前は、ギリシア神話に登場するヘルミオネーという女性に由来するのだろう、と思っていました。ヘルミオネーは、トロイア戦争の原因となった絶世の美女ヘレネーの一人娘です。しかし、…

スミュルナ(9):女神ローマの発明

スミュルナ:目次へ ・前へ スミュルナには、アレクサンドロス大王の指示によって建設された新スミュルナと、それまでの旧スミュルナの2つの町があったのでした。旧スミュルナについては代表的な人物として詩人のミムネルモスをご紹介しました。そこで新ス…

スミュルナ(8):ミムネルモス(2)

スミュルナ:目次へ ・前へ ・次へ ミネムルモスより約300年後の、エジプトのアレクサンドリアに集まったギリシア人の学者たちは、往古の詩人たちの詩集を編纂したのですが、ミネムルモスの分は2冊の本にしかなりませんでした。ステーシコロスという詩人の…