神話と歴史の間のエーゲ海

古代ギリシアの、神話から歴史に移るあたりの話を書きました。

2020-01-01から1ヶ月間の記事一覧

キオス(15):キオスの反乱(2)

キオス:目次へ ・前へ ・次へ BC 412年夏、キオスで離叛を計画する数名が大陸側のコーリュコス岬に出向き、そこに来ていたスパルタの先遣隊5隻の指揮官2名と打合せをしました。そして、自分たちが近くキオスの評議会を開催することを話し、スパルタの先遣…

キオス(14):キオスの反乱(1)

キオス:目次へ ・前へ ・次へ BC 478年に発足したデーロス同盟はアテーナイが中心になって組織した同盟で、この同盟においてキオスの位置づけは年賦金を免除される代わりに軍船を同盟に提供するというもので、他の加盟国より優遇された位置づけにありました…

キオス(13):ヒポクラテース

キオス:目次へ ・前へ ・次へ ヒポクラテースはBC 470年頃に生れたキオス出身の幾何学者で、現代まで残っている業績のひとつはヒポクラテースの三日月 (Lune of Hippocrates)というものです。それは何かというと、下の図でピンク色で示した図形のことです。…

キオス(12):オイノピデース

キオス:目次へ ・前へ ・次へ ミュカレーの戦いの1年後のBC 478年にデーロス同盟が結成されます。 アテーナイ人は、(中略)同盟諸国がアテーナイ側に要請したため、指揮権を(スパルタから)うけ継ぎ、その第一段階としてペルシア人追討のために、どの加盟…

キオス(11):ペルシア戦争

キオス:目次へ ・前へ ・次へ キオスは再びペルシアの支配下に戻り、その後起ったBC 490年の1回目のペルシア戦争と、その10年後のBC 480年の2回目のペルシア戦争には、キオスは戦艦を派遣し、同じ民族のギリシア勢を敵として戦わなければなりませんでした…

キオス(10):ヒスティアイオス

キオス:目次へ ・前へ ・次へ ラデーの海戦はイオーニア側の敗北となり、ミーレートスはとうとう陥落します。敗軍を収容したキオスは、やがて来るであろうペルシア軍に対する準備を急ぎました。ところが、この時になって、新たな厄介事がキオスに降りかかり…

キオス(9):ラデーの海戦

キオス:目次へ ・前へ ・次へ イオーニアの反乱は6年続きました。最初はイオーニア側が優勢で・・・・と書きたいところですが、実際のところ戦況は最初から五分五分だったようです。後半はペルシア側が態勢を立て直したために、イオーニア側が押されてきま…

キオス(8):イオーニアの反乱

キオス:目次へ ・前へ ・次へ キオスがペルシアの支配下に入ってから40年ほどたった頃、キオスの僭主はストラッティスという者でした。もちろん、ペルシアの後ろ盾で僭主になった者です。彼はペルシア王ダーレイオスの命を受けて他のペルシア支配下のギリシ…

キオス(7):ペルシアへの服属

キオス:目次へ ・前へ ・次へ さて、キオスと大陸の距離は、一番近いところで6kmぐらいです。当時のペルシア人は陸の民であって海軍を持っていなかったので、この程度の隔たりであっても、キオスは安心していることが出来たのです。 そうこうしているうちに…

キオス(6):ペルシアの脅威

キオス:目次へ ・前へ ・次へ キオスは創建時に王制を執り、その後、貴族制に移っていったらしいのですが、英語版のWikipediaによれば、その貴族制もBC 6世紀には、より民主的な国制を採用するようになったということです。それはアテーナイのソローンが作…

キオス(5):ホメーロス(2)

キオス:目次へ ・前へ ・次へ では、ホメーロスはキオスの人ではないのでしょうか? しかし、そうとも断言出来ないのが悩ましいところです。高津春繁氏の「ホメーロスの英雄叙事詩」ホメーロスの英雄叙事詩 (岩波新書)作者:高津 春繁岩波書店Amazonによれば…

キオス(4):ホメーロス(1)

キオス:目次へ ・前へ ・次へ キオスは、現代においてでも、ホメーロスがキオスの出身である、と主張し、旅行者に対してそれをアピールしています。ホメーロスの出身地として有力なスミュルナが現代ではトルコ領になっているので、ギリシア国内ではキオスが…

キオス(3):初期のキオス

キオス:目次へ ・前へ ・次へ キオス建設以後の話に戻ります。例によってこの頃の歴史についてはほとんど分かりません。英語版Wikipediaの「キオス」の項には 少なくとも紀元前11世紀までに、島は王によって支配され、その後の貴族制(または恐らく僭主制)…

キオス(2):オーリーオーン

キオス:目次へ ・前へ ・次へ キオスを神話の時代までさかのぼると、オーリーオーンが登場します。星座のオリオン座のオリオンのことです。本当は、オーリーオーンと長音で発音します。 オーリーオーンは、かなり昔から星座として認識されていました。神話…

キオス(1):キオス創建

キオス:目次へ ・次へ キオス島は日本で言えば佐渡島ぐらいの大きさで、日本によくあるような、起伏に富んだ島です。 この島は、ホメーロス風讃歌の「アポローンへの讃歌」で「海に浮かぶ島々の中でもひときわ豊饒なキオス」と称えられています。 イーダー…

キオス:目次

都市一覧へ 1:キオス創建 キオス島は日本で言えば佐渡島ぐらいの大きさで、日本によくあるような、起伏に富んだ島です。この島は、ホメーロス風讃歌の「アポローンへの讃歌」で「海に浮かぶ島々の中でもひときわ豊饒なキオス」と称えられています。イーダ…