神話と歴史の間のエーゲ海

古代ギリシアの、神話から歴史に移るあたりの話を書きました。

2025-01-01から1年間の記事一覧

カメイロス(4):ペイサンドロス

カメイロス:目次へ ・前へ BC 7世紀にはカメイロス出身のペイサンドロスという叙事詩人が活躍しています。彼は英雄ヘーラクレースの活躍を描いた叙事詩「ヘーラクレイア」の作者でした。彼はヘーラクレースを、獅子の毛皮をまとい、棍棒を担いだ人物として…

カメイロス(3):植民と傭兵の時代

カメイロス:目次へ ・前へ ・次へ ロドス島にかつてフェニキア人が住んでいたことに関しては、高津春繁著「ギリシア・ローマ神話辞典」に以下のような記述がありました。 イーピクロス ロドス島に侵入して、フェニキア人を追い払ったドーリス人の将。フェニ…

カメイロス(2):トレーポレモス

カメイロス:目次へ ・前へ ・次へ カメイロスの起源についての伝説はもうひとつあって、こちらはヘーラクレースの息子のひとりトレーポレモスがロドス島にやってきて、リンドス、イアーリュソス、カメイロスの3つの町を作った、というものです。トレーポレ…

カメイロス(1):ロドス島の起源

カメイロス:目次へ ・次へ 歴史家のヘーロドトスが小アジアのドーリス地方のドーリス人都市を6つ挙げているなかで、カメイロスについては書いていないことが気になってきました。ヘーロドトスがドーリス人の都市として挙げているのは、次の6つです。すな…

カメイロス:目次

都市一覧へ 1:ロドス島の起源 歴史家のヘーロドトスが小アジアのドーリス地方のドーリス人都市を6つ挙げているなかで、カメイロスについては書いていないことが気になってきました。ヘーロドトスがドーリス人の都市として挙げているのは、次の6つです。…

テネドス(11):ヘスティアー

テネドス:目次へ ・前へ テネドスとはあまり関係がないのですが、前回、女神ヘスティアーが登場したので、何か書いておきたくなりました。というのも、ヘスティアーは実際には厚く崇拝されていた女神であるのに、神話にはほとんど登場しない女神だからです…

テネドス(10):市議会議長アリスタゴラース

テネドス:目次へ ・前へ ・次へ BC 480年と479年に行われたペルシア戦争において、ギリシア諸都市の連合軍はペルシアを打ち破り、エーゲ海からその勢力を追い払いました。この戦いによって、テネドスもペルシアの支配から解放されました。その後、テネドス…

テネドス(9):ペルシアによる征服

テネドス:目次へ ・前へ ・次へ テネドス島は、ダーダネルス海峡(古代ギリシアの言い方ではヘレースポントス)を通過しようとする船にとって重要な位置を占めていたので、レスボス島の都市ミュティレーネーと争うようになったと私は想像します。というのは…

テネドス(8):情報の少ない時代

テネドス:目次へ ・前へ ・次へ アイオリス人が植民市を建設したのちのテネドス島に関する情報は少ないので、叙述するのが難しいです。そこで、テネドス島の周囲でどんなことが起きていたのか、見ていくことにします。 テネドスはアイオリス人の植民市のひ…

テネドス(7):アイオリス人の植民

テネドス:目次へ ・前へ ・次へ トロイア戦争の後、ギリシア軍の一部はテネドス島に一旦停泊し、その後ギリシア本土に戻りました。ギリシア軍が去ったあとのテネドス島については情報がありません。おそらく島の原住民(トロイア人に近い人々)が独立を取り…

テネドス(6):トロイの木馬

テネドス:目次へ ・前へ ・次へ 都市の名前が「トロイア」なので、本当は「トロイアの木馬」と書くべきですが、一般に「トロイの木馬」と呼ばれているので、ここでも「トロイの木馬」と書きます。 さてギリシア軍はトロイアを攻めること10年、まだ攻め落と…

テネドス(5):トロイア戦争

テネドス:目次へ ・前へ ・次へ さて、ギリシア軍に占領されてからのテネドスについては、ギリシア軍との関連においてしか伝説がないようです。ギリシアの将帥たちはトロイアを攻める前に、ここテネドス島に軍を留めたまま、ヘレネーの夫だったメネラーオス…

テネドス(4):アポローン神の子供たち

テネドス:目次へ ・前へ ・次へ テネース自身がアポローンの子であった、という伝承もあります。この伝承では、アキレウスはテネースを殺したことによって、自分がアポローンに殺される運命になった、というふうに語られます。そして、アキレウスの母親で海…

テネドス(3):アポローン神の聖地

テネドス:目次へ ・前へ ・次へ テネドスはアポローン神の崇拝の中心地として知られています。「イーリアス」の冒頭近くには、テネドスにほど近い小アジア側の町、クリューセーのアポローン神の祭司クリューセースが登場します。彼は捕虜となった娘クリュー…

テネドス(2):古代の著作家の証言

テネドス:目次へ ・前へ ・次へ 前回ご紹介したテネースの物語についての古代の証言を載せておきます。まず、パウサニアースの「ギリシア案内記」からです。 これらの斧は、テネドス出身のエウテュマコスの息子ペリクリュトスによって(デルポイに)奉納さ…

テネドス(1):テネース

テネドス:目次へ ・次へ テネドス島は、小アジアのエーゲ海沿岸沖に浮かぶ島です。詳しく言えば、かつてトロイアの町があった場所の沖合に位置しています。そのため、ギリシア神話のトロイア戦争の物語の中で、テネドス島は時折重要な舞台として登場します。…

テネドス:目次

都市一覧へ 1:テネース テネドス島は、小アジアのエーゲ海沿岸沖に浮かぶ島です。詳しく言えば、かつてトロイアの町があった場所の沖合に位置しています。そのため、ギリシア神話のトロイア戦争の物語の中で、テネドス島は時折重要な舞台として登場します…

ネオン・テイコス

都市一覧へ ネオン・テイコスというのは古代のギリシア語で「新しい壁」という意味です。しかし「新しい」という名がついていてもこの町の起源はキューメーと同じくらい古い町です。ネオン・テイコスはキューメーと同じくアイオリス人の町です。ネオン・テイ…