神話と歴史の間のエーゲ海

古代ギリシアの、神話から歴史に移るあたりの話を書きました。

2020-03-01から1ヶ月間の記事一覧

イアーリュソス(9):ロドス市の建設

イアーリュソス:目次へ ・前へ ・次へ BC 431年、ギリシア世界はアテーナイ側とスパルタ側に分かれ、ペロポネーソス戦争が始まります。イアーリュソスを含むロドスの町々はドーリス系でしたがもともとデーロス同盟に参加していることからアテーナイ側に付き…

イアーリュソス(8):ディアゴラス

イアーリュソス:目次へ ・前へ ・次へ ディアゴラスはイアーリュソス出身のボクサーで、前回登場したティーモクレオーンの同時代人でした。彼はオリュンピア競技(いわゆる古代オリンピック)でボクシングで2回優勝しました。そのほかに古代ギリシアの有名…

イアーリュソス(7):ティーモクレオーン

イアーリュソス:目次へ ・前へ ・次へ BC 480年の「サラミースの海戦」まで時代を下ります。ペルシア王クセルクセースは陸海の大軍を率いてギリシア本土に攻め込み、アテーナイを占領し火を放って町を破壊しました。一方、ギリシア連合海軍はアテーナイ沖の…

イアーリュソス(6):ドーリス6都市同盟

イアーリュソス:目次へ ・前へ ・次へ それではイアーリュソスに住みついたドーリス人はどこから来たのでしょうか? アメリカのWikipediaの「ロドス島」の項を見ても、それについての情報はありませんでした。私は、ペロポネーソス半島のアルゴスが、ロドス…

イアーリュソス(5):ドーリス人の到来

イアーリュソス:目次へ ・前へ ・次へ 古典時代、イアーリュソスはドーリス系の町でした。ドーリス人というのは英雄ヘーラクレースの子孫と称する人々に率いられた集団です。トロイア戦争のところで登場するトレーポレモスはヘーラクレースの息子なので、ト…

イアーリュソス(4):トレーポレモス

イアーリュソス:目次へ ・前へ ・次へ さてトロイア戦争の時に、イアーリュソスはギリシア側に立って兵を出しました。それを率いるのはヘーラクレースの子といわれるトレーポレモスでした。ただし、これがイアーリュソスだけのことではなくて、リンドス、カ…

イアーリュソス(3):ヘーリアダイ

イアーリュソス:目次へ ・前へ ・次へ 今回も主要な情報源は、高津春繁著「ギリシア・ローマ神話辞典」です。ギリシア・ローマ神話辞典 (1960年)Amazon さて、テルキーネスたちには妹がいて、名をヘーリアーといいます。この名前、太陽(=ヘーリオス)の女…

イアーリュソス(2):テルキーネス

イアーリュソス:目次へ ・前へ ・次へ まずはイアリューソスに限定せずロドス島全体に関係する神話からご紹介します。神話の世界でロドス島に最初に登場するのはテルキーネスという種族です。この種族は人間ではありません。その姿は半人半魚とも半人半蛇と…

イアーリュソス(1):はじめに

イアーリュソス:目次へ ・次へ ロドス島はエーゲ海の東側の南に浮ぶ島です。面積でいうと日本の沖縄本島に近い大きさですが、沖縄本島よりずんぐりとした形です。古代ここにはイアーリュソス、カメイロス、リンドスの3つの都市がありました。どれもドーリ…

イアーリュソス:目次

都市一覧へ 1:はじめに ロドス島はエーゲ海の東側の南に浮ぶ島です。面積でいうと日本の沖縄本島に近い大きさですが、沖縄本島よりずんぐりとした形です。古代ここにはイアーリュソス、カメイロス、リンドスの3つの都市がありました。どれもドーリス系の…

ナクソス(13):イオーニア人(2)

ナクソス:目次へ ・前へ しかしヘーロドトスの記事を考慮すると、前回の最後に述べたようなすっきりした推測になりません。まずヘーロドトスはイオーニア人は混成種族だと主張します。 彼ら(=イオーニア人)の重要な構成要素を成しているエウボイアのアバ…

ナクソス(12):イオーニア人(1)

ナクソス:目次へ ・前へ ・次へ アルカイック期、古典期のエーゲ海の話を書いていくと、どうしてもイオーニア人が主体になります。それで、イオーニア人の来歴を一度、ゆっくり調べてみたいとずっと考えていました。もやもやと考えているだけでは先に進まな…

ナクソス(11):ペルシアからの離脱

ナクソス:目次へ ・前へ ・次へ ペルシア軍はナクソスを破壊したあと、エウボイア島のエレトリアを攻略し、次にアテーナイに向いました。アテーナイ軍はアテーナイ近郊のマラトーンでの戦いでペルシア軍を破ります。ペルシア軍はそのまま撤退しました(第一…