神話と歴史の間のエーゲ海

古代ギリシアの、神話から歴史に移るあたりの話を書きました。

2018-10-01から1ヶ月間の記事一覧

アイギーナ(12):最終回。その後のアイギーナ

アイギーナ:目次へ ・前へ 前回の「(11):衰退」で、アイギーナの話は終わりにしようと思っていたのですが、そうしたところどうも落ち着きがよくないと感じてきました。どこが変なのか考えてみたところ、現代もアイギーナ(現代名エギナ)の町は立派に…

アイギーナ(11):衰退

アイギーナ:目次へ ・前へ ・次へ サラミースの海戦ののち、アテーナイはテミストクレースの主導により、さらに海軍力を高めていきスパルタとの間に緊張が走りますが、自分の功績を繰り返し誇示するテミストクレースがアテーナイ民衆に嫌われ、陶片追放に会…

アイギーナ(10):サラミースの海戦

アイギーナ:目次へ ・前へ ・次へ こうして始まったサラミースの海戦ですが、この海戦で一番活躍したのはアイギーナの艦船でした。 (左:サラミースの戦士の像) さてサラミスのペルシア軍艦船の大部分は、アテナイ軍とアイギナ軍のために破壊され航行不能…

アイギーナ(9):進め、ヘラスの子らよ

アイギーナ:目次へ ・前へ ・次へ やがて2度目のペルシアの侵攻が始まりました。それは前回よりも大規模で、ペルシア王自らが軍を率いていました。テミストクレースは、対アイギーナ戦のためにという名目で建造した200隻にのぼる軍船で、ペルシア軍に当ろ…

アイギーナ(8):勝利

アイギーナ:目次へ ・前へ ・次へ アテーナイは有名なマラトーンの戦いでペルシア軍に大勝します。ペルシアの脅威を除去したアテーナイは、親ペルシアのアイギーナの現政権を転覆させ、親アテーナイの政権を樹立しようとする陰謀を進めました。アテーナイ側…

アイギーナ(7):ペルシアからの服属要求

アイギーナ:目次へ ・前へ ・次へ BC 498年、ミーレートスを中心とするエーゲ海東側のギリシア諸都市がペルシアに対して反乱を起こしました(イオーニアの反乱)。エーゲ海の西側では、アテーナイとエウボイア島のエレトリアがこの反乱に援軍を派遣しました…

アイギーナ(6):アイアコス一族の神霊

アイギーナ:目次へ ・前へ ・次へ アイギーナの最初の王であったアイアコスとその子孫はアイギーナの守り神として崇拝されていました。そしてアイアコスの一族はアイギーナ以外の都市国家でも崇拝されていました。そのことが分かる話が以下の伝説です。 BC …

アイギーナ(5):新興海上勢力として

アイギーナ:目次へ ・前へ ・次へ アイギーナはサモスとも不和でした。 アイギナ人がサモス人に対してこのような行為に出たのは、かねて怨恨を抱いていたからである。元はといえばサモス人の方が元凶であって、アンピクラテスがサモスに君臨していた頃、彼…

アイギーナ(4):アテーナイとの不和の起源

アイギーナ:目次へ ・前へ ・次へ これは、アイギーナとアテーナイがどうして敵対関係になったかという話です。この話は、アイギーナがエピダウロスから独立する前の頃から始まります。 エピダウロスが穀物の不作に悩んでいたことがあった。そこでエピダウ…

アイギーナ(3):アイギーナ植民

アイギーナ:目次へ ・前へ ・次へ 神話によればアイアコスはアイギーナの初代の王でした。そしてアイギーナの国民(というか都市国家なので市民とも呼ぶことも出来ます)はといいますと、ゼウスがアイアコスのために島にいる蟻を人間に変身させて国民にした…

アイギーナ(2):アイギーナの名の由来

アイギーナ:目次へ ・前へ ・次へ アイギーナという島の名前は、神話によればアイギーナという名前の女性に由来します。「テーラ(3):エウローペーを探すカドモス」で紹介したエウローペーという女性がヨーロッパという地名の由来になったのに似ています…

アイギーナ(1):はじめに

アイギーナ:目次へ ・次へ 今度はエーゲ海の西側にある島アイギーナを取り上げます。この近くにある有名なアテーナイをなぜ取り上げないかと言いますと、アテーナイの歴史ならばネットに多く存在するからです。私としてはそういう都市は避けて、あまり取り…

アイギーナ:目次

都市一覧へ 1:はじめに 今度はエーゲ海の西側にある島アイギーナを取り上げます。この近くにある有名なアテーナイをなぜ取り上げないかと言いますと、アテーナイの歴史ならばネットに多く存在するからです。私としてはそういう都市は避けて、あまり取り上…