神話と歴史の間のエーゲ海

古代ギリシアの、神話から歴史に移るあたりの話を書きました。

2020-12-01から1ヶ月間の記事一覧

メーロス(8):ミロのヴィーナス

メーロス:目次へ ・前へ メーロスは、BC 416年のアテーナイ軍によるメーロス島占領の際、成人男子全員が処刑され、女性と子供は奴隷にされる、というむごい目に会いました。そしてメーロス島にはアテーナイ市民による入植者500名がやってきました。その後、…

メーロス(7):メラニッピデース

メーロス:目次へ ・前へ ・次へ この記事は、英語版Wikipediaの「メラニッピデース」の項に基づきました。 哲学者(メーロスの)ディアゴラスがアテーナイで活躍していた頃、もう一人のメーロス人もアテーナイで活躍していました。その人の名はメラニッピデ…

メーロス(6):メーロスのディアゴラス

メーロス:目次へ ・前へ ・次へ この記事は、英語版Wikipediaの「メーロスのディアゴラス」の項に基づきました。 メーロス島がアテーナイ軍によって包囲された頃、アテーナイで活躍していた一人のメーロス人がいました。彼の名はディアゴラスといい、最初は…

メーロス(5):メーロス対話(2)

メーロス:目次へ ・前へ ・次へ しかしアテーナイ側は、メーロス側が抱く希望というものは根拠がないと反論します。 希望とは死地の慰め、それも余力を残しながら希望にすがるものならば、損をしても破滅にまで落ちることはない。だが、手の中にあるものを…

メーロス(4):メーロス対話(1)

メーロス:目次へ ・前へ ・次へ メーロス対話というのは、ペロポネーソス戦争のさなか、メーロスに侵攻してきたアテーナイ軍からやってきた使者とメーロス島の代表者たちの間でなされた、とトゥーキュディデースが自著「戦史」の第5巻で描いた対話です。そ…

メーロス(3):リンゴのマーク

メーロス:目次へ ・前へ ・次へ ギリシア本土が動乱を迎えるBC 1200年頃になると、フィラコピは住民から放棄されてしまいます。おそらく本土での動乱の影響なのでしょう。その頃のことについて伝説は何も語ってくれません。 その後、メーロス島にドーリス人…

メーロス(2):フィラコピ遺跡

メーロス:目次へ ・前へ ・次へ 考古学のほうに目を向けてみますと、メーロス島にはフィラコピ遺跡というBC 2300年までさかのぼることが出来る遺跡があります。この遺跡から分かる最初の時代はBC 2300年からBC 2000年までの時代で、キュクラデス文明の中の…

メーロス(1):メーロス島植民

メーロス:目次へ ・次へ 今回はミロのヴィーナスが出土したことで有名なメーロス島(現在名ミロス島)を取り上げます。ミロのヴィーナスの「ミロ」というのは「ミロス島(メーロス島)」のことです。メーロス島はキュクラデス諸島の中に位置し、その大きさ…

メーロス:目次

都市一覧へ 1:メーロス島植民 今回はミロのヴィーナスが出土したことで有名なメーロス島(現在名ミロス島)を取り上げます。ミロのヴィーナスの「ミロ」というのは「ミロス島(メーロス島)」のことです。メーロス島はキュクラデス諸島の中に位置し、その…

イオス(4):エーゲ海のピラミッド

イオス:目次へ ・前へ イオス島にあるスカルコス遺跡はキュクラデス文明の遺跡です。キュクラデス文明は4期に分かれていて、古いものから順に、グロッタ・ペロス文化、ケロス・シロス文化、カストリ文化、フィラコピ文化、という名前が付けられています。…

イオス(3):島の歴史

イオス:目次へ ・前へ ・次へ ギリシアの暗黒時代を抜けたあと、BC 8世紀にはイオスはイオーニア人の島でした。おそらくは近隣の島々と同じようにデーロス島を神聖視していたことでしょう。ホメーロス風讃歌のなかの「アポローンへの讃歌」ではデーロス島の…

イオス(2):クリテーイス

イオス:目次へ ・前へ ・次へ 前回ご紹介したホメーロスに関する伝説は、今に伝わる形になったのはAD 2世紀と推定されていますが、元になった記事はBC 4世紀までさかのぼるらしいです。さて、この伝説の中で、ホメーロスに与えられたデルポイの神託は、ホメ…

イオス(1):ホメーロス終焉の地

イオス:目次へ ・次へ イオス島の位置を下の地図に示します。 イオス島は、ホメーロスの「イーリアス」にも「オデュッセイアー」にも登場せず、ヘーロドトスの「歴史」にもトゥーキュディデースの「戦史」にも1回も登場しないので、私のような者がイオス島…

イオス:目次

都市一覧へ 1:ホメーロス終焉の地 イオス島の位置を下の地図に示します。イオス島は、ホメーロスの「イーリアス」にも「オデュッセイアー」にも登場せず、ヘーロドトスの「歴史」にもトゥーキュディデースの「戦史」にも1回も登場しないので、私のような…