神話と歴史の間のエーゲ海

古代ギリシアの、神話から歴史に移るあたりの話を書きました。

2018-11-01から1ヶ月間の記事一覧

エペソス(11):アルテミス神殿再建

エペソス:目次へ ・前へ ・次へ アルテミス神殿炎上の年に生まれたマケドニアのアレクサンドロス(のちの大王)は、父親の急死により20歳でマケドニアの王位を継ぎます。そして2年後のBC 334年には小アジアに軍を進め、迎え撃つペルシア軍を蹴散らしました…

エペソス(10):ヘロストラトス

エペソス:目次へ ・前へ ・次へ BC 387年にスパルタとペルシア王国の間で締結されたアンタルキダスの和約によって、エペソスを含む小アジアのギリシア都市はペルシア支配下に戻ることになりました。 さて、今までエペソスにおけるアルテミス神殿の重要性に…

エペソス(9):ペロポネーソス戦争終結まで

エペソス:目次へ ・前へ ・次へ ヘーロドトスの「歴史」を見てもトゥーキュディデースの「戦史」を見ても、エペソスについての記述があまりありません。登場しても単なる地名としての言及しかなかったりします。それで私はイオーニアの反乱(BC 498年)から…

エペソス(8):ヘーラクレイトス(2)

エペソス:目次へ ・前へ ・次へ ヘーラクレイトスは「すべてのものを通してすべてのものを操る(万有の理法の)意図を知」ろうと努めたわけですが、その学説はどういうものだったでしょうか。ディオゲネス・ラエルティオスによれば、それは以下のような説明…

エペソス(7):イオーニアの反乱

エペソス:目次へ ・前へ ・次へ さて、少しの間ヘーラクレイトスから離れてエペソス市そのものに注目していきます。イオーニアの反乱勃発ののちエペソスはどうなったでしょうか。 ミーレートスに集結したイオーニア各都市の軍勢は船でミーレートスを発ち、…

エペソス(6):ヘーラクレイトス(1)

エペソス:目次へ ・前へ ・次へ 「万物は流転する」という言葉で有名なヘーラクレイトスはエペソス出身の哲学者で、エペソスがペルシアに敗れ征服されたBC 546年頃、エペソスの初代の王アンドロクロスの子孫である王家に生まれました。ただ、その頃王家と言…

エペソス(5):ヒッポナクス

エペソス:目次へ ・前へ ・次へ サルディスが陥落しエペソスもペルシアに征服された頃に活躍した、エペソス生まれの詩人がいました。しかし、ひょっとするとこの時にはすでにエペソスを離れて、 クラゾメナイに住んでいたかもしれません。というのは年代が…

エペソス(4):クロイソス

エペソス:目次へ ・前へ ・次へ キンメリア人が去ってのち、洪水によってアルテミス神殿は倒壊しました。その後しばらくの間、神殿を再建出来ないでいました。さて、キンメリア人を小アジアから駆逐したのはリュディア王アリュアッテスでしたが、その次に王…

エペソス(3):キンメリア人の侵入

エペソス:目次へ ・前へ ・次へ アンドロクロスの死後エペソスにどんなことが起きたのか知りたいところですが、例によってこのあたり300年ぐらいの情報はありません。そこで時代を下ってBC 8世紀後半まで行きますと、その頃、現在その痕跡が残っている最初…

エペソス(2):アルテミス神殿

エペソス:目次へ ・前へ ・次へ エペソスはかつて、別名アルテミシオンとも呼ばれるアルテミス神殿で有名でした。時代がかなり下りますが、BC 2世紀に選ばれた世界の7つの驚異(「世界の7不思議」というのは誤訳だそうです)の中にエペソスのアルテミス神殿…

エペソス(1):エペソスの建設

エペソス:目次へ ・次へ エペソスは小アジアのイオーニアにあった古代都市で、今ではトルコ領になっています。トルコの観光地として有名なところで、ここは古代ギリシア、ローマ好きにとってその興味を満たす場所だけでなく、新約聖書の中に「エペソ人への…

エペソス:目次

都市一覧へ 1:エペソスの建設 エペソスは小アジアのイオーニアにあった古代都市で、今ではトルコ領になっています。トルコの観光地として有名なところで、ここは古代ギリシア、ローマ好きにとってその興味を満たす場所だけでなく、新約聖書の中に「エペソ…