神話と歴史の間のエーゲ海

古代ギリシアの、神話から歴史に移るあたりの話を書きました。

2023-10-01から1ヶ月間の記事一覧

クノッソス(20):プラトーンが再構成した先史時代(4): 再びドーリス人について

クノッソス:目次へ ・前へ ・次へ 話は、トロイア戦争後に進みます。 アテナイからの客人 きっとそれらの都市が、かのイリオン(トロイア)に向かって軍を勧めたのでしょうね、それも、おそらくは海路をも使って、その頃はすでに、誰もが、恐れることなく海…

クノッソス(19):プラトーンが再構成した先史時代(3): トロイア戦争

クノッソス:目次へ ・前へ ・次へ プラトーンはトロイアの建設の伝説を取り上げ、それをもとに、人びとが山麓から平野に下りて来た時代があったとしています。 アテナイからの客人 それはホメロスが、二番目につづき、三番目のものはこのようにして生じたと…

クノッソス(18):プラトーンが再構成した先史時代(2): 山麓に住む人々

クノッソス:目次へ ・前へ ・次へ プラトーンは、大洪水を生き延びた人々の子孫は技術をあまり持っていなかったし、小集団に分かれて暮らしていたと論じます。 アテナイからの客人 そこでわたしたちは、こんなふうに言ってもよいのではないでしょうか。こう…

クノッソス(17):プラトーンが再構成した先史時代[1]:大洪水。

クノッソス:目次へ ・前へ ・次へ プラトーンの対話編「法律」から当時(BC 350年頃)のクノッソスの姿が少し見える箇所は、以下のところでしょう。 クレイニアス (中略) ほかでもありませんが、クレテの大部分が、ある植民を行なおうとくわだてており、…

クノッソス(16):ディクテオン洞窟

クノッソス:目次へ ・前へ ・次へ プラトーンの対話編「法律」は、次のように始まります。 アテナイからの客人 ねえ、あなた方、神さまですか、それとも誰か人間なのですか、あなた方のお国で法律制定の名誉をになっておられるのは。 クレイニアス 神さまで…

クノッソス(15):ペルシア戦争

クノッソス:目次へ ・前へ ・次へ さて、時代をBC 480年のペルシアによる2回目のギリシア本土侵攻の頃まで進めます。この時ペルシア側はギリシア本土全体を服属させるつもりで侵攻してきました。これに対して多くのギリシア都市が抵抗するつもりでいました…

クノッソス(14):エピメニデース(2)

クノッソス:目次へ ・前へ ・次へ エピメニデースはアテーナイからクノッソスに帰って間もなくしてから死んだということですが、彼は非常に長命だったということです。 彼は帰国して間もなく死んだのであるが、プレゴンが「長命について」のなかで述べてい…

クノッソス(13):エピメニデース(1)

クノッソス:目次へ ・前へ ・次へ BC 640年頃のクノッソスにエピメニデースという名の男の子がいました。 エピメニデスは、テオポンポスその他多くの人たちが述べているところによると、パイスティオスの子であった。(中略)彼はクレタ人でクノソスの生ま…

クノッソス(12):リュクールゴスのクレータ島訪問

クノッソス:目次へ ・前へ ・次へ 前回少し登場したスパルタ人リュクールゴスは半ば伝説的な人物であり、彼の生きていた時代を特定することは難しいですが、プルータルコスの記事を元に述べてみます。 ドーリス人がスパルタを占拠した時にそこの王となった…

クノッソス(11):ドーリス人のクレータ島征服

クノッソス:目次へ ・前へ ・次へ ドーリス人がクレータ島を征服してからのクノッソスの情報はほとんどありません。考古学から言えることは、クレータ島全体を支配するような広域の政治権力がこの時代には消滅し、代わりにもっと小さな範囲を支配する権力が…

クノッソス(10):ドーリス人の来歴

クノッソス:目次へ ・前へ ・次へ ドーリス人というのは、もともとドーリス地方に住んでいたギリシア人の部族だとされています。 紀元前後に活躍したローマの地理学者ストラボーンは以下のように書いています。 アイトーリア人は西ロクリス人と国境を接して…

クノッソス(9):民族の変遷

クノッソス:目次へ ・前へ ・次へ では、ヘーロドトスの伝えるこの伝承の全体を見ていきましょう。 それはミノスがダイダロスの行方を求めて、今日シケリアと呼ばれているシカニアにゆき、ここで横死を遂げたと伝えられるからである。後になってクレタ人は…

クノッソス(8):疫病と飢饉

クノッソス:目次へ ・前へ ・次へ クノッソスに帰国したのちのイードメネウスのことが、BC 1世紀のローマの詩人ヴェルギリウスの作った叙事詩「アエネーイス」にわずかに述べられています。 そのとき噂が飛んでいて、将イードメネウスは国人に、 クレータの…

クノッソス(7):イードメネウス

クノッソス:目次へ ・前へ ・次へ イードメネウスは、トロイア戦争を描いたホメーロス作の「イーリアス」では、いろいろな場面で活躍しています。彼はここではピュロス王ネストールほど高齢ではないが、それでも白髪の交じる、もう若くはない人物として描か…

クノッソス(6):トロイア戦争まで

クノッソス:目次へ ・前へ ・次へ ミーノース王はミーノータウロスの死とアテーナイの少年少女たちの脱走を聞いて怒りました。やがてダイダロスがアリアドネーに入れ知恵したことを突き止めると、ミーノースはダイダロスと彼の息子イーカロスをラビュリント…