神話と歴史の間のエーゲ海

古代ギリシアの、神話から歴史に移るあたりの話を書きました。

2021-10-01から1ヶ月間の記事一覧

トロイゼーン(13):アテーナイからの避難民

トロイゼーン:目次へ ・前へ ・次へ トロイゼーンについて次にお話し出来ることは、ずっと時代を下ってBC 480年の(第2次)ペルシア戦争の時のことです。この時ペルシア軍はクセルクセース王に率いられてバルカン半島の北からギリシアを攻めて来ました。ト…

トロイゼーン(12):カラウレイア同盟

トロイゼーン:目次へ ・前へ ・次へ ダミアーとアウクセーシアーの伝説は、その中に「反対派」という言葉が出て来ることから、王家の力が衰弱して貴族間の党派争いが盛んになったBC 8~6世紀のアルカイック期のこととして考えるとしっくりすると思ったので…

トロイゼーン(11):クレータ島への眼差し

トロイゼーン:目次へ ・前へ ・次へ では、ダミアーとアウクセーシアーがクレータ島から来たとされていることから、何か分からないでしょうか? これに関連して、ホメーロス風讃歌の中の「デーメーテールへの讃歌」で人間の老婆に化けたデーメーテールが、…

トロイゼーン(10):ダミアーとアウクセーシアー

トロイゼーン:目次へ ・前へ ・次へ ここでいつの時代のことかよく分からない伝説を紹介します。パウサニアースが記しているものです。 ダミアーとアウクセーシアー(トロイゼーン人にとっても、彼女たちの崇拝を分かち合う)については、彼ら(=トロイゼ…

トロイゼーン(9):ハリカルナッソスへの植民

トロイゼーン:目次へ ・前へ ・次へ トロイゼーンの王家については何も分かりませんでしたが、一方、ピッテウスがトロイゼーンにやってくるより以前の王であるアンタスの子アイティオスの子孫はこの頃まで存続していたようです。パウサニアースによればアン…

トロイゼーン(8):ドーリス人の登場

トロイゼーン:目次へ ・前へ ・次へ トロイア陥落時、アイトラーはテーセウスの息子たちデーモポーンとアカマースによって救出されたと伝えられています。アイトラーは自分の孫たちに助けられたのでした。その後、トロイゼーンにどんなことがあったでしょう…

トロイゼーン(7):トロイア戦争の頃

トロイゼーン:目次へ ・前へ ・次へ ここまではトロイゼーンの神話伝説はしっかりしているのですが、ここから以降の出来事になると急にはっきりしなくなります。それでも何とか追跡していきましょう。 ヒッポリュトスが死んだのち、トロイゼーン王の後継者…

トロイゼーン(6):ヒッポリュトス(2)

トロイゼーン:目次へ ・前へ ・次へ テーセウスは妃パイドラーの死をひとしきり嘆いたあと、その遺書を読みます。 テセウス [書板をよみ終え、死骸の傍をはなれてきて] おお、これはまた、なんという悪いことが、つづいて起ることであろう。まことに言語…

トロイゼーン(5):ヒッポリュトス(1)

トロイゼーン:目次へ ・前へ ・次へ 若いテーセウスが父親でアテーナイ王でもあるアイゲウスに会うためにトロイゼーンから旅立ったところで、テーセウスの物語はトロイゼーンから離れてしまいます。しかし、やがてテーセウスの息子のヒッポリュトスがトロイ…

トロイゼーン(4):テーセウスの誕生(2)

トロイゼーン:目次へ ・前へ ・次へ テーセウスの話を進めます。 さてしばらくの間アイトラーはテーセウスの真の生れを隠していた。ポセイドーンの子だという噂がピッテウスによって広められた。ポセイドーンをトロイゼーンの人々は特に崇めて町の守護神と…

トロイゼーン(3):テーセウスの誕生(1)

トロイゼーン:目次へ ・前へ ・次へ ピッテウスについてプルータルコスは「知恵のある人」であったと書いています。 ピッテウスというテーセウスの祖父に当る人もその中の(=ペロプスの子供の)一人で、その築いたトロイゼーンは大きな町ではなかったけれ…

トロイゼーン(2):ペロプス

トロイゼーン:目次へ ・前へ ・次へ サロニコス湾に名前を残したサロンの話は前回のところで終りです。このサロンからヒュペレースとアンタスに至るまでに間にいた王たちについては気になるところですが、パウサニアースは何も聞き取ることが出来なかったそ…