神話と歴史の間のエーゲ海

古代ギリシアの、神話から歴史に移るあたりの話を書きました。

2019-04-01から1ヶ月間の記事一覧

サモス(18):ザンクレー奪取

サモス:目次へ ・前へ ・次へ アイアケスが僭主に復帰したのちのサモスの状況については、よく分かりません。ただ、アイアケスがサモスにやってくる前に亡命した人々がいたことをヘーロドトスは伝えています。 一方サモスでは、富裕な階級のものたちは、サ…

サモス(17):ラデーの海戦

サモス:目次へ ・前へ ・次へ 「イオーニアの反乱」の最後の決戦となるラデーの海戦が始まりました。 さてフェニキアの艦隊が攻撃に向ってくると、イオニア軍もこれに対抗すべく一列の縦隊となって船を進めた。両艦隊はやがて近接して交戦した(中略)。伝…

サモス(16):イオーニアの反乱

サモス:目次へ ・前へ ・次へ BC 498年、サモスとは目と鼻の先にある、大陸側の都市ミーレートスがペルシアに対して反乱を起しました。反乱の首謀者はミーレートスの僭主アリスタゴラスで、彼は本心はともかくミーレートスに民主政を宣言し、他の都市に対し…

サモス(15):スキュティア遠征への従軍

サモス:目次へ ・前へ ・次へ BC513年のこと、ペルシア王ダーレイオスはスキュティア(現在のウクライナ南部)へ攻め込みました。サモスも海軍の提供を要求され、僭主アイアケス自身がサモスの海軍を率いて従軍しました。 バビロンの占領後、ダレイオスは自…

サモス(14):ペルシア軍侵攻

サモス:目次へ ・前へ ・次へ ペルシアの将軍オタネスは、シュロソーンをサモスの支配者に据えるために艦隊を率いてサモス島に侵攻しました。 さてペルシア軍がシュロソンの復帰を目指してサモスに到着すると、これに刃向う者は一人もなく、マイアンドリオ…

サモス(13):シュロソーン

サモス:目次へ ・前へ ・次へ シュロソーンはポリュクラテースの弟でした。彼は兄ポリュクラテースがサモスの政権を奪取しようとした時にもう一人の兄とともに協力したのでした。しかし、その後まもなくポリュクラテースによって追放されてしまいます。追放…

サモス(12):マイアンドリオス

サモス:目次へ ・前へ ・次へ さて、話をポリュクラテースが謀殺された時点に戻します。ポリュクラテースを謀殺したオロイテスはその後サモス島を攻めたかといいますと、攻めてはおりません。それはなぜかといいますと、ちょうどこの頃、ペルシア王カンビュ…

サモス(11):ピュータゴラースと女神ヘーラー

サモス:目次へ ・前へ ・次へ 高野義郎著「古代ギリシアの旅:創造の源をたずねて」古代ギリシアの旅―創造の源をたずねて (岩波新書)作者:高野 義郎岩波書店Amazonで著者は、ピュータゴラースが居を定めた3つの都市の全てに女神ヘーラーの大規模な神殿があ…

サモス(10):ピュータゴラース

サモス:目次へ ・前へ ・次へ ポリュクラテース亡きあとに話を進める前に、彼の同時代人の話をご紹介したいと思います。ポリュクラテースが政権を奪取してそれほどたたない頃、サモスを去ろうとする人がいました。その人は今でも数学における「ピタゴラスの…