神話と歴史の間のエーゲ海

古代ギリシアの、神話から歴史に移るあたりの話を書きました。

2022-02-01から1ヶ月間の記事一覧

サモトラーケー(9):ペラスゴイ人(2)

サモトラーケー:目次へ ・前へ ・次へ このようにペラスゴイ人はルウィ語を話す人々だ、と断言したいところですが、気になることもあります。それは、レームノス島から出土したギリシア語ではない碑文の存在です。この碑文の文字はギリシアのアルファベット…

サモトラーケー(8):ペラスゴイ人(1)

サモトラーケー:目次へ ・前へ ・次へ 話はサモトラーケーから離れてしまいますが、ペラスゴイ人とは何者なのか、自分なりに追及してみたいと思います。もちろん、専門家の間でもペラスゴイ人がどのような民族なのかいまだに分かってはいない問題なので、私…

サモトラーケー(7):入信の儀式

サモトラーケー:目次へ ・前へ ・次へ サモトラーケーの秘儀で礼拝を受けていた神々をカベイロイと呼ばず、偉大なる神々と呼んだほうがよさそうですが、では偉大なる神々とは何なのかと言われると私には答がありません。なので、もうこれ以上サモトラーケー…

サモトラーケー(6):カベイロイ(2)

サモトラーケー:目次へ ・前へ ・次へ ギリシア・ローマ神話辞典 (1960年)Amazon次に、高津春繫氏の「ギリシア・ローマ神話辞典」の「カベイロイ」の項の記述にあった「前5世紀以後航海者の保護神とも考えられ、この点から彼らはディオスクーロイと同一視さ…

サモトラーケー(5):カベイロイ(1)

サモトラーケー:目次へ ・前へ ・次へ ギリシア・ローマ神話辞典作者:高津 春繁岩波書店Amazon前回ご紹介した、高津春繫氏の「ギリシア・ローマ神話辞典」の「カベイロイ」の項の記述の、根拠になるものを探していたところ、ネット上にキングス・カレッジ・…

サモトラーケー(4): ヘーロドトスの密儀入会

サモトラーケー:目次へ ・前へ ・次へ サモトラーケーの町の事績についてはこれ以上あまり話すことを持ち合わせていません。それで話をサモトラーケーの秘儀のほうに持っていきたいと思います。 ペルシア戦争が終わったのち、歴史家のヘーロドトスはペルシ…

サモトラーケー(3):ペルシア戦争まで

サモトラーケー:目次へ ・前へ ・次へ BC 8世紀にギリシア人がサモトラーケーにやってきて町を作ったあと、サモトラーケーの町にはどんなことがあったでしょうか? これについてはあまり伝わっていないようです。ただし、島から北の大陸側のトラーキアに領…

サモトラーケー(2):カドモス

サモトラーケー:目次へ ・前へ ・次へ サモトラーケーからトロイアの王家が発祥したことをお話ししましたが、サモトラーケーはギリシア本土のテーバイとも神話上の関係があります。テーバイがフェニキアの王子カドモスによって作られたという伝説は「テーラ…

サモトラーケー(1):はじめに

サモトラーケー:目次へ ・次へ サモトラーケー島は、エーゲ海の北東の隅にある島です。この北の大陸側はトラーキアといい、古代にはトラーキア人が住んでいました。この島は古くはサモス島と呼ばれていましたが、南にあるサモス島と区別するために「トラー…

サモトラーケー:目次

都市一覧へ 1:はじめに サモトラーケー島は、エーゲ海の北東の隅にある島です。この北の大陸側はトラーキアといい、古代にはトラーキア人が住んでいました。この島は古くはサモス島と呼ばれていましたが、南にあるサモス島と区別するために「トラーキアの…

グリューネイア(2):アポローンの神託所

グリューネイア:目次へ ・前へ さて、「(1):起源」でご紹介した創建伝説ではグリューネイアとペルガモンの2つの都市が並んで登場していました。このうちペルガモンはのちのヘレニズム時代にペルガモン王国の首都として大いに栄えました。しかし、その…

グリューネイア(1):起源

グリューネイア:目次へ ・次へ グリューネイアはレスボス島の東の大陸側にある町で、レスボス島の諸都市と同じアイオリス系のギリシア人による町でした。 グリューネイアはその名前に異称が多く、グリューニア、グリューネイオン、グリューニオン、グリュー…

グリューネイア:目次

都市一覧へ 1:起源 グリューネイアはレスボス島の東の大陸側にある町で、レスボス島の諸都市と同じアイオリス系のギリシア人による町でした。グリューネイアはその名前に異称が多く、グリューニア、グリューネイオン、グリューニオン、グリューノイとも呼…