神話と歴史の間のエーゲ海

古代ギリシアの、神話から歴史に移るあたりの話を書きました。

2017-08-01から1ヶ月間の記事一覧

ミーレートス(25):ミーレートス陥落ののち

ミーレートス:目次へ ・前へ ・次へ サルディスから逃走してからのヒスティアイオスの行動は、その目的が私には理解出来ません。逃亡したことによってペルシアに敵対することを決意したと思ったのですが、やったことといえばビューザンティオン(今のイスタ…

ミーレートス(24):ミーレートスの陥落

ミーレートス:目次へ ・前へ ・次へ さて、ペルシア海軍の主力であるフェニキア艦隊がイオーニア軍に接近し、戦いの火蓋が切られました。ヘーロドトスは、どの町の部隊が奮戦し、どの町の部隊が戦わずに逃走したのかを述べていますが、肝心のミーレートス部…

ミーレートス(23):ペルシア軍の包囲

ミーレートス:目次へ ・前へ ・次へ ヒスティアイオスがキオス島に渡ると、ダーレイオスの覚えめでたい人物がキオスに来たというわけで、これは何か陰謀を企んで来たに違いないとキオス人に勘ぐられ、逮捕されました。ヒスティアイオスは自分はダーレイオス…

ミーレートス(22):アリスタゴラスの逃亡

ミーレートス:目次へ ・前へ ・次へ ヒスティアイオスが歩いて3ヶ月はかかるスーサからサルディスへの長い道のりを進んでいっているうちにも、イオーニアでの情勢も変化していきました。サルディスとエペソスでの戦いの次には、キュプロスでペルシアへの反…

ミーレートス(21):サルディスとエペソスでの戦い

ミーレートス:目次へ ・前へ ・次へ 何の抵抗も受けずにサルディスを占領したイオーニア軍とアテーナイ軍でしたが、 兵隊の一人が一軒の家に火を附けたところ、火は忽ち家から家へ移り、町全体が猛火に包まれてしまった。町の燃えている中に、リュディア人…

ミーレートス(20):サルディスへ

ミーレートス:目次へ ・前へ ・次へ アリスタゴラスはペルシアへの反乱の意志を自分の仲間たちに打ち明けました。また彼は、ヒスティアイオスから来た指令についても明かしました。その仲間の中には歴史家ヘカタイオスもいたということです。他の者たちが皆…

ミーレートス(19):イオーニアの反乱のきっかけ

ミーレートス:目次へ ・前へ ・次へ 当時、ミーレートスは繁栄を謳歌しておりましたが、ナクソスという島も他の島々にぬきんでて繁栄しておりました。ナクソスはエーゲ海に浮かぶ島々の中でキクラデス諸島と呼ばれる諸島の中の最大の島です。ミーレートスは…

ミーレートス(18):「イオーニアの華」の時期

ミーレートス:目次へ ・前へ ・次へ ミーレートスの支配権を得ており、さらに今回ミュルキノスに町を建設する許可をもらったヒスティアイオスは喜んでミュルキノスの城壁の建設を始めました。ところがそのことを聞いたペルシアの将軍メガバゾスがダーレイオ…

ミーレートス(17):ダーレイオスの退却

ミーレートス:目次へ ・前へ ・次へ スキュタイ人の言う通り、橋を破壊してイオーニアを解放しようと主張したのはケルソネーソスの僭主ミルティアデースでした。ケルソネーソスは今のガリポリです。 一方、それに反対したのはミーレートスの僭主ヒスティア…

ミーレートス(16):ドナウ河の船橋

ミーレートス:目次へ ・前へ ・次へ ここからしばらくは話の舞台はエーゲ海を離れて黒海の沿岸近く、ドナウ河の水が黒海に注ぎ込むあたりを少し上流に行ったあたりになります。当時、このドナウ河の北側がスキュタイ人の領土なのでした。ペルシア王ダーレイ…

ミーレートス(15):ヒスティアイオスの登場

-ミーレートス:目次へ ・前へ ・次へ「ミーレートス(9):トラシュブロス後」で述べましたように、ミーレートスは2世代(おそらく60年)に渡る内紛の後にパロス島の住民によって一種の財産政(財産の多い者が政権を握る政治制度)が成立したのではない…

ミーレートス(14):イオーニア文化の拡散

・ミーレートス:目次へ ・前へ ・次へサルディスの陥落があり、その後のペルシア王国によるイオーニア地方平定において2つの町の住民だけが祖国を離れました。テオースの町では全市民が船に乗り込み、海路トラーキア(現在のギリシア北東部)に向い、そこ…

ミーレートス(13):リュディア人パクテュエスとディデュマ

ミーレートス:目次へ ・前へ ・次へ サルディスの陥落の直後の話です。リュディアの首都サルディスには豊富な量の黄金がありました。デルポイやこのディデュマに奉納した黄金の量からも、リュディアが黄金に富む国であったことが分かります。ペルシア王キュ…

ミーレートス(12):サルディスの陥落

・ミーレートス:目次へ ・前へ ・次へ 話を「ミーレートス(8):イオーニア12都市」のところまで戻します。ミーレートスはリュディアと同盟を結んでいたことで対外的には平和を得ていたのですが、やがて情勢が変化していきます。その変化は東方はるかか…

ミーレートス(11):ディデュマ

ミーレートス:目次へ ・前へ ・次へ ディデュマというのは、ミーレートスの領内にあって神託で有名なアポローンの神殿でした。 ディデュマのアポローンの神殿の遺跡 ヘーロドトスはディデュマについて「きわめて古い創設にかかる神託所(歴史、巻1、157…

ミーレートス(10):タレースと鼎

・ミーレートス:目次へ ・前へ ・次へディオゲネス・ラエルティオスはタレースにまつわるこんな話を記しています。 イオニアのある若者たちがミレトスの漁夫たちから、彼らの水揚げした漁獲物を買ったとき、引き上げられたもののなかに鼎があったので、それ…

ミーレートス(9):トラシュブロス後

・ミーレートス:目次へ ・前へ ・次へ さてこの頃、ミーレートスの独裁者トラシュブロスはどうしていたのでしょうか? 残念ながらそれについての記述を私は見つけることが出来ていません。彼には後継者がいたのか、それとも後継者はおらず、民主政が確立し…

ミーレートス(8):イオーニア12都市

・ミーレートス:目次へ ・前へ ・次へミーレートスはリュディアと同盟を結んだおかげで、他のイオーニア都市とは異なり、独立を保つことが出来ました。リュディア王が次の代のクロイソスになった時、クロイソスはいろいろと口実を設けて他のイオーニア都市…

ミーレートス(7):僭主トラシュブロス

・ミーレートス:目次へ ・前へ ・次へキンメリア人とスキュタイ人がリュディアから追い出されたのち、リュディア王国はミーレートスへの侵攻を再開しました。この時のミーレートスの支配者はトラシュブロスでした。 彼*1がミレトスに軍を進め、これを攻囲し…

ミーレートス(6):科学の祖タレース

・ミーレートス:目次へ ・前へ ・次へ さて、次の出来事は、キンメリア人やスキュタイ人をリュディア王国の領土から放逐したあとの出来事なのか、それともまだ放逐出来ていなかった頃の出来事なのかよく分からないのですが、リュディアの首都サルディスに保…

ミーレートス(5):キンメリア人の侵入

・ミーレートス:目次へ ・前へ ・次へリュディア王国が領土を拡張してきてミーレートスを占領しようと、さかんに戦争を仕掛けるのですが、その時にミーレートスがどう対処したのかについて、その初期のことは分かりません。これらはいわゆる暗黒時代の出来…

ミーレートス(4):レーラントス戦争

・ミーレートス:目次へ ・前へ ・次へ ミーレートスはBC 8世紀にレーラントス戦争に巻き込まれた都市のひとつでした。このレーラントス戦争というのは、ギリシア史の初期のことなのではっきりしたことはよく分からないようです。 レラントス戦争(レラント…

ミーレートス(3):ミーレートス建設

ミーレートス:目次へ ・前へ ・次へ コドロス王の死後、アテーナイでは後継者争いが始まります。 コドロスの息子の年長の息子たち、メドーンとネイレウスが支配権について争い、ネイレウスはメドーンが片足で不自由だったため、彼に支配されることを拒否し…