神話と歴史の間のエーゲ海

古代ギリシアの、神話から歴史に移るあたりの話を書きました。

2018-08-01から1ヶ月間の記事一覧

テーラ(3):エウローペーを探すカドモス

テーラ:目次へ ・前へ ・次へ フェニキアの王アゲーノールにはポイニクス、キリクス、カドモスという3人の息子と、エウローペーという娘がいました。このエウローぺーが美しい少女へと成長した時に、神々の王ゼウスがオリュンポス山の頂にある神々の宮殿か…

テーラ(2):テーラースの植民

テーラ:目次へ ・前へ ・次へ ドーリス人がペロポネーソス半島に侵入した時の話です。ペロポネーソスのスパルタを手に入れたのはヘーラクレースの後裔アリストデーモスでした。彼はアルゲイアーをめとってエウリュステネースとプロクレースの双子を得ました…

テーラ(1):はじめに

テーラ:目次へ ・次へ 今度は、キクラデス諸島の南部、ドーリア人の島テーラを取り上げることにします。 古典期ギリシアの方言の分布図。デーロス島とテーラ島では方言が違う。デーロス島はイオーニア方言、テーラ島はドーリス方言 キクラデス諸島のドーリ…

テーラ:目次

都市一覧へ 1:はじめに 今度は、キクラデス諸島の南部、ドーリア人の島テーラを取り上げることにします。キクラデス諸島のドーリア人の島としてはほかにメロス島(ミロのヴィーナスの出土地)などがあります。テーラは現代の発音ではティラというのだそう…

デーロス島(12):繁栄と滅亡

デーロス:目次へ ・前へ デーロス島が一番繁栄したのは、これよりあと、アレクサンドロス大王が若くして死んで、その帝国が後継者たちによって分割され、互いに覇を争っていたヘレニズム時代と、西方からやがて勢力を増してきたローマに支配され始めた時代…

デーロス島(11):デーロス島の「お清め」

デーロス:目次へ ・前へ ・次へ 「(6):キクラデス文明」でも少し触れましたが、このペロポネーソス戦争の6年目(BC 426年)にアテーナイによるデーロス島の「お清め」が行われています。 同冬、アテーナイ人は神託の命ずるところと称して、デーロス島の…

デーロス島(10):デーロス同盟

デーロス:目次へ ・前へ ・次へ 次の話でもデーロス島は場所としての役割しか果たしていません。その話というのはペルシア戦争ののちアテーナイが組織したデーロス同盟の話です。 さて、エーゲ海の東岸、つまり小アジア側までのギリシア都市がペルシアの支…

デーロス島(9):ギリシア海軍のデーロス島集結

デーロス:目次へ ・前へ ・次へ さて、ダーレイオス王の息子で次代のペルシア王になったクセルクセースはBC 481年、2度目のギリシア侵攻を実行します。今度は前回よりも大規模な軍勢で、海岸沿いの陸を進む陸軍と、海岸沿いの海を進む海軍の2段仕立でした…

デーロス島(8):ダティスの見た夢

デーロス:目次へ ・前へ ・次へ ダティスがデロスの海域から去ったのち、デロスに地震があったとデロスの住民は伝えている。そしてデロスにおける地震は今日に至るまで、これが最初であり最後であったという。(中略) ペルシア軍はデロスを去って後、次々…

デーロス島(7):ペルシア戦争まで

デーロス:目次へ ・前へ ・次へ ではイオーニア人到来以降のことを書いていきます。 キクラデス諸島のすぐ北にはエウボイア島という大きな島がありますが、BC 710~BC 650年頃に行われた、エウボイア島にある2つの町、カルキスとエレトリアの間の戦争、い…

デーロス島(6):キクラデス文明

デーロス:目次へ ・前へ ・次へ では、イオーニア人が到来する以前、デーロス島に住んでいたのは何者なのでしょうか? 古代の歴史家でペロポネーソス戦争(BC 431~BC 404)の歴史を書いたトゥーキュディデースは、それはカーリア人であると言っています。 …

デーロス島(5):イオーニア人の到来

デーロス:目次へ ・前へ ・次へ 伝説ではトロイア戦争が終わって80年目に、ヘーラクレースの後裔を称する人々に率いられたドーリス人が北からペロポネーソス半島に侵入して、そこに住んでいたアカイア人を追い出し、さらにアカイア人がイオーニア人を追い出…

デーロス島(4):歴史の記述の少なさ

デーロス:目次へ ・前へ ・次へ このブログは、取り上げた都市について、伝説と歴史の交じり合う時代からギリシア古典期までの話を紹介する意図で始めたのですが、デーロス島については古典期の歴史の話があまり見つかりません。アポローンの聖地だけに神話…