神話と歴史の間のエーゲ海

古代ギリシアの、神話から歴史に移るあたりの話を書きました。

ナクソス(1):町の起源

ナクソスエーゲ海の真ん中にある島です。

その首邑ナクソスの町は、小高い山が港のすぐ近くに迫り、その山の周りを白い建物群が取り巻く姿をしています。今回ナクソスのことを調べるためにGoogle Mapを見たところ、ナクソスの町が3次元で表示されているのを見つけました。この山の頂上付近がかつてのアクロポリスだったことでしょう。今は、後世に建てられた中世の城が残っています。

この画像の奥側の左の方には海上を渡る細い道が続き、その先には小島があります。その上にはかつてナクソスの僭主リュグダミスが作らせた巨大なアポローン神殿があったのですが、今はその正面の門の一部が残るのみです。


伝説によればナクソスの名前は、ナクソスというカーリア人の名前に由来するそうです。そこから察するに、ギリシア人がこの島に到来する以前にカーリア人が住んでいたようです。歴史家トゥーキュディデースが「当時島嶼にいた住民は殆どカーリア人ないしはポイニキア人であ」ったと書いていたことを思い出します(「ハリカルナッソス(3):カーリア人」参照)。また、ナクソスと名付けられる前は、この島はディーアと呼ばれていたとのことです。このナクソスの子がレウキッポスで、そのまた子がスメルディオスで、スメルディオスがナクソスの王であった頃に、アテーナイの英雄テーセウスがナクソスを訪れたということです。(高津 春繁著「ギリシアローマ神話辞典」によりました。)

テーセウスについては、のちにご紹介します。


では、カーリア人ではなくギリシア人がナクソスにやってきた際の伝説はないでしょうか? ヘーロドトスは著書「歴史」の中でナクソスはアテーナイに起源を持つと、短く述べています。

ナクソス人は起源をアテナイに発するイオニア民族である。


ヘロドトス著「歴史」巻8、46 から

もし、そうであるならば、もう少しそれにまつわる伝説を知りたいところですが、そのような伝説を見つけることが出来ませんでした。ただ、ギリシア人らしい人物がナクソスの支配者になった物語を見つけましたので、次回はその話をご紹介します。