神話と歴史の間のエーゲ海

古代ギリシアの、神話から歴史に移るあたりの話を書きました。

テーラ(1):はじめに

今度は、キクラデス諸島の南部、ドーリア人の島テーラを取り上げることにします。


古典期ギリシアの方言の分布図。デーロス島とテーラ島では方言が違う。デーロス島はイオーニア方言、テーラ島はドーリス方言


キクラデス諸島のドーリア人の島としてはほかにメーロス島(ミロのヴィーナスの出土地)などがあります。テーラは現代の発音ではティラというのだそうですが、日本ではサントリーニという別名のほうがよく知られています。エーゲ海の風光明媚な観光地です(一度、行ってみたいと思っています)。エーゲ海の旅のイメージとしてよく登場するのがミコノス島やサントリーニ島の風景です。

(ティラ島の観光地イアの風景)


上の写真のイアの町、あるいは同じく観光地のフィラの町は断崖絶壁の上にあります。そのことが独特の風景を作っているのですが、海側から見ると下の写真のような感じです。



なぜ、こんな絶壁になっているかというと、この島はかつて周りの島々と一体となって上から見たら丸い島になっていたそうです。それが、BC 1600年頃に中央の火山が大噴火して爆発し、今の島々が残ったというのです。このようにしてテーラ島の高い絶壁が形成されたと地質学者は言います。


この大爆発の時、ギリシア人はまだこの島にやってきていなかったと歴史学者は推定しています。ではここにはどんな人が住んでいたのか興味のあるところですが、その話は後回しにして、まずはギリシアの伝説から、この島への植民の物語をご紹介したいと思います。